こんにちは。事業開発室の小出(こいで)です。
前回の記事ではオフィス改革の進め方や、効果測定について説明しました。今回の記事は会議室予約システムを利用したデータ分析について説明します。
会議室予約システムでは下記のような利用データが取得できます。それらをマスターデータと照らしあわせてせることで、さまざまな分析が可能になります。本記事では、当社の会議室予約管理システム(BRoomHubs)で取得できるデータを例として、データ分析およびそれに対する施策例について考えていきます。
01. 会議室予約管理システムで取得できるデータ
会議室予約管理システムでは、大きく4つのデータを管理します。
● マスターデータ
・会議室(設備データ)
・人事データ
● 利用ログ
・会議室(設備)予約データ
・会議室(設備)利用データ
各社の業種、職種、環境、保有している課題、目指すワークスタイルなどは違いますので、当然分析すべき内容も各社固有です。オフィス改革の効果を図る指標をどう設定するか、というところから考えて分析を実施する必要があります。
02. データ分析の意味
それではもう少し具体的なデータ分析について、予約情報分析を例に考えてみます。
会議室や部門、ユーザーが集計軸、予約件数や利用時間数、予約タイミング、キャンセルタイミングが集計項目です。それらから稼働率、キャンセル率、カラ予約(自動キャンセル)数、予約タイミングごとの予約件数など、さまざまな分析ができます。
分析の結果は、設備運用を管理している方は普段から感じられているかもしれませんが、それがデータとなって見える化できることにより関係各所への説得力をもち、対策がうちやすくなります。全体の状況を俯瞰することにより、気が付かなかった課題が見つかることも多く、特に予約やキャンセルをするタイミングを分析することは普段なかなか認識できないので、新たな気づきを与えてくれます。
03. 具体的なデータ分析例
それでは、いくつか分析の結果とそれに対する打ち手について考えていきましょう。
会議室の利用状況分析
稼働率の高い部屋はなんとなく認識できているものの、稼働率の高い部屋とそうでない部屋の差がどこにあるのかは明確になっていないケースが多く見受けられます。全体の会議室の稼働率を見ると稼働率の差が明確になりますので、何が要因なのかが特定できます。設備、部屋の大きさ、稼働率の差の要因を明確にすることで、どんな会議室が求められているかを特定でき、次のレイアウト変更の参考にすることができます。
また当社のお客様では、全く同じレイアウトの部屋にも関わらず、稼働率の差がある部屋がありましたが、予約時に部屋の写真を参照できるようにすることで、稼働率の平準化を図ることに成功した例がありました。会議室をうまくアピールすることも会議室の稼働率の平準化に貢献します。
組織ごとの利用状況分析
組織単位で予約や利用に関する行動ログを分析することも有意義です。当社のお客様では分析の結果、予約数もキャンセル数も多い組織が特定できました。まず会議室を抑えておいて当日になってキャンセルをするような使い方をされては会議室の有効利用はできません。このお客様では、その部署に対して会議室の使い方(適切なキャンセルタイミングでキャンセルする、など)の啓蒙をおこなうとともに、その部署占有の会議室を設定し、その枠の中で業務をこなす工夫をしてもらう、という対策をしています。
予約タイミング分析
会議室利用者がどのタイミングで予約をするのか、あるいはキャンセルするのかは認識しにくいです。一般的に考えて会議室を利用する予定がたってから会議室を予約するため、業務特性によって予約タイミングには部署ごとの傾向があるはずです。それをふまえて例えば部屋によって先行予約できる組織を決めるなど、予約開始タイミングを工夫することで、目的にあった会議室を使えるようになります。
キャンセルタイミング分析
会議室の有効利用のためには、適切なタイミングでキャンセルをしてもらう必要があります。当社の分析では、1日前にキャンセルする場合と予約当日キャンセルする場合では、キャンセルされた部屋の再予約率に大きな差が出ます。
予約者の意識啓蒙とともに、リマインダーメールのタイミングの適切な設定などを実態にあわせて調整することで、会議室の有効利用を図ることが可能です。
会議室利用人数分析
会議室の想定利用人数と実際の利用人数のギャップを把握することで、実際に求められている部屋の大きさを推測することができます。最近は大きな会議室で1人でオンライン会議をしているようなケースも見受けられますが、働き方の変化が変わる中で、用意すべき設備を検討するためにも利用人数の分析は重要です。
フリーアドレス席利用分析
昨今、オフィススペースの効率的利用の方法として、フリーアドレス席を作る企業が増えています。自席に加えて、フリーアドレス席がある場合はまだいいのですが、固定席をなくしてフリーアドレス席を作る場合は、どの程度の数を用意すべきか、会議室やオンライン会議用ブースとスペースをどう配分するかは設備担当者の切実な課題となります。個々のフリーアドレス席がどう使われているかを分析し、適切な席数を見極めること、自由席や予約席、固定席の設置など利用方法を見直し続けることが非常に重要です。今後も働き方は変化していくことが想定されますので、今後さらにフリーアドレス席の分析は重要になっていくと考えています。
他にも各社の状況にあわせて、様々な分析が考えられると思います。会議室や設備の使われ方を見える化し、分析をおこなうことで、問題が明確になり、その対策も具体的なものになります。設備はすぐに変更できるわけではありませんが、利用ルールとあわせて考えることで、設備の有効利用を考えることは可能です。働き方の変化が激しい状況においては、常に設備の運用に対する見直しが必要になると考えています。
04. オフィスの改革に向けて
これまで3回にわたり、働き方の変化に伴うオフィス変革をどう進めればいいのかについて考えてきました。
オフィスの検討に限ったことではありませんが、変化の激しい状況においては「現状がどうなっているか」を定量的に明確に把握することが大切です。感覚値ではなく、定量的なデータを示すことによって、他部署や経営に対する説得力も増します。
オフィスの維持には大きなコストがかかるため、どうオフィスを改革するかは経営的にも大きな課題です。またオフィスの作り方が社員の働き方を変えてしまうという本来とは逆の現象が起きてしまう可能性もあります。
オフィスは社員のエンゲージメントを高めるために非常に重要な要素です。経営にとって非常に重要な位置づけであるオフィスのこれからを考えていくのは、設備運用担当を担う総務担当の皆さんです。総務担当の皆さんは日々多くの課題に対処していらっしゃいます。オフィス検討に割ける時間は多くありません。だからこそ、日々のデータを活用し効果的なアプローチをしていただければと思っています。
当社では会議室予約システムBRoomHubsというサービスを提供するとともに、オフィス改革や会議室や設備を有効利用するためのお手伝いもしています。会議室予約システムに関するお問合せはもちろん、オフィス利用に関するお困りごとがございましたら、ご相談いただければ幸いです。