こんにちは。事業開発室の小出(こいで)です。
新型コロナウィルスによる未曽有の災禍の中、皆様一致団結してこの難局に立ち向かわれていることと存じます。
当社は会議室予約管理のためのクラウドサービスを提供している中で、最近、総務ご担当者様から「オフィスの有効利用」についてのご相談を受けることが多くなっています。もともとあった働き方改革の流れに加え、コロナ禍により半強制的にリモート環境での業務が始まったことによって、働き方は大きく変わってきています。その中で、社員にオフィスをより有効に利用してもらうためには、働き方の変化に対応したオフィス改革が必要となっています。オフィス改革をどう進めていくかというお悩みをお持ちの方も多いと思いますので、本ブログでは「オフィス改革」について考えていきたいと思います。
本記事は「オフィスに求められるもの」について説明します。
一般的にオフィスという言葉には、従来の職場であったオフィス以外にも、シェアオフィスやサテライトオフィスのような形態も含まれます。本記事の中では、本社オフィスなど総務担当者様が管理しなければならない自社保有(長期借用)しているものを「オフィス」と表現します。
01. 総務担当者の悩み
各社の総務ご担当者様は、リモートワーク環境を実現するためのさまざまな整備に忙しいにもかかわらず、下記のような状況におかれている方が多いのではないでしょうか。
オフィスで勤務している社員は少ないにもかかわらず会議室はなぜか使われている、会議室を覗いてみると大きな部屋に1人でオンライン会議をしている・・・、といったことが少なからずありませんか?本当にこのオフィスの広さが必要なのか・・・?でも、コロナが一段落すれば、また元の働き方になるのでは・・?
オフィスコストは非常に大きく、オフィスを縮小できればコストの削減効果は非常に大きくなります。しかし自社にとって適切なオフィスの広さが明確にできている企業は少ないのではないでしょうか?
また、締結している賃貸契約の縛りもあり、結局手を打てていない企業が多いと見受けられます。新型コロナウィルスによってオフィスの見直しを実施した企業は、まだ3割程度、検討中の企業は4割程度といわれています。多くの企業の総務ご担当者様が悩みを抱えていらっしゃると思います。
今後働き方や働く環境がどうなっていくかわからない中で、オフィスを有効利用するために、何をどう考えていけばいいのかを考えてみたいと思います。
02. これからのワークスタイル
まず、これからのワークスタイルがどうなっていくか、ということについて考えてみます。
一般的にリモートワークは、通勤負荷が軽減される、ワークライフバランスがとりやすいなどのメリットがあるといわれています。通勤負荷が軽減されることで、時間だけでなくさまざまなストレスから解放されるという間接的なメリットもあるでしょう。しかし一方で、個人からみても経営から見ても下記のような不安を感じているという結果も出ています。生産性についてもオフィスで働く方が生産性が高いと考える方が多数にのぼることがさまざまな調査で報告されています。
アフターコロナの環境になってもリモートワークを続けたいという要望が多いこともふまえ、オフィスワークとリモートワークをどう位置付けるかが、総務ご担当者の悩みどころです。
リモートワークのメリット
- 通勤負荷が軽減される
- 自分のペースで働ける
- ワークライフバランスの充実
リモートワークを実施するときの不安(個人)
- 正しく業務が評価されるか
- チーム内の意思疎通ができるか
- 業務を実施するうえで必要な環境(セキュリティ、ネットワークなど)が確保できるか
- 仕事とプライベートのメリハリをつけて業務ができるか
リモートワークを実施するときの不安(企業)
- チーム内で円滑なコミュニケーションができるか
- 業務生産性が低下しないか
- セキュリティ環境が確保できるか
- マネジメント負荷が高くならないか(社員への評価、フォローが十分にできるか)
- 自社に対するエンゲージメントの低下
既に広く浸透していますが、ABW(ActivityBasedWorking)という考え方があります。オランダの企業が提案して欧米諸国から日本に浸透してきた「仕事の内容にあわせて働く場所を選ぶ」という考え方です。前述の状況をふまえると、企業によって程度の違いはあるものの、ABWという考え方は日本においても広まっていくと考えられます。BCPの観点でも働く場所(ワークプレイス)に多様性を持たせることは重要です。
ではABWという考え方の中で、オフィスが果たすべき役割はどのようなものでしょうか?
03. オフィスに求められるもの
オフィスの役割を考えるにあたり、自宅やシェアオフィスなどのリモート環境では実現が難しく、オフィスに期待される機能は何かを考えてみたいと思います。オフィスには、下記のような「場」としての機能が求められているのではないかと考えています。
● 仕事をするための環境が整備されており、生産性高く業務に従事できる場
セキュリティが保たれ、ネットワークや防音などのオフィス環境、コピー機などのオフィス什器などが充実している。
● マネジメント、チームワークの根幹となる「信頼感の醸成」の場
信頼感の維持はリモートでも可能だが、その土台となるきっかけ作りや信頼感を発展させることは対面でないと難しい。
● 企業の文化や価値観を共有し共感する場
企業に対する理解や愛着を育むためには言葉だけではなく、社員相互の交流が必要。
● 相互主観性を生むコミュニケーションが促進される場
イノベーション(新たな知)の創造には、周りの人との主観と共振・共鳴・共有・葛藤することでうまれる相互主観性が必要だといわれています。そのためには、身体性を持ったコミュニケーションがとれる場が必要です。
当然のことながら、昨今のさまざまなリスクをふまえると、社員が安全に働けることは、必須条件となります。これらの機能は、全て従業員エンゲージメント(※)に結び付く機能と考えられ、すなわちオフィスは従業員エンゲージメントを醸成するうえで非常に重要な役割を担っていることになります。快適に安全に作業ができ、またチームの枠を超えて円滑にコミュニケーションができる、、、そんなオフィスであれば、社員の皆さんもオフィスで働くことが楽しみになるのではないでしょうか。活気あふれるオフィスであることは、社員のモチベーションやエンゲージメントをあげるだけでなく、採用活動にも大きくプラスになります。
※従業員エンゲージメント・・・従業員と企業が一体となり、双方の成長に貢献しあう関係
オフィスに求められるものは上記の「場」としての機能だと考えますが、その実現方法は、それぞれの企業のビジョンや目指すワークスタイルに依存します。全ての会社が、昨今話題のイケてるオフィスを目指すことがベストではありません。企業ごとに、求められる機能やワークスタイルにあわせて、オフィスをデザインすることが必要です。
もちろん、業種、職種、各社のポリシーなどによって、目指すべきワークスタイルは違います。多様性があふれ、新たな価値を創造できるワークスタイルを実現するためには、経営、社員が一体となって、働くことに対する意識や人事・評価制度、業務プロセスを時間をかけて変革していくことが必要です。オフィスは、そのワークスタイルの変革の状況にあわせて変えていくのが理想です。また、今回のコロナ禍のような災害にも対応しなければなりません。
ワークスタイルとオフィスの在り方は強く連動しています。オフィス改革は、あるべきワークスタイルを実現するために戦略的に進めていく必要があります。
では変わり続けるワークスタイルに対応するオフィスをどう作っていけばいいのでしょうか?
続きは以下の記事でご覧ください。